第105回天皇杯全日本サッカー選手権大会の1回戦が5月25日に全国各地で行われ、エディオンピースウイング広島では、広島県代表の福山シティFCが徳島県代表のFC徳島と対戦。60分に先制を許す苦しい展開となったが、その後2点を奪い返して2―1の逆転勝利を収め、2年連続の初戦突破を果たした。
福山市を拠点とする福山シティFCは、立ち上がりから両サイドを起点に積極的な攻撃を展開。序盤は完全にペースを握り、前半だけで2度クロスバーを叩くなど惜しいシーンを重ねたが、あと一歩ゴールには届かず、スコアレスで前半を折り返した。
試合が動いたのは後半15分。FC徳島の鋭いカウンターから自陣での対応に追われた福山は、DF藤井敦仁のファウルでPKを献上。これを冷静に決められ、先にリードを許す苦しい展開となった。しかし、失点からわずか3分後、セットプレーからのチャンスを生かし、福山が同点に追いつく。
試合終盤、再びヒーローとなったのは藤井だった。自身のファウルによるPKで悔しい思いをした背番号が、83分にペナルティエリア内でのこぼれ球を左足で押し込み、見事な勝ち越しゴール。自身の失点を自らの得点で帳消しにし、勝利を手繰り寄せた。
試合後、小谷野拓夢監督(27)は「チャンスを作りながらなかなか決めきれず、PKで追い込まれたが、そこからの粘りと切り替えが勝因」と選手たちの精神力をたたえた。また「Jクラブと戦うことをずっと目標にしてきた。この勝利でようやくスタートラインに立てた」と、2回戦への意欲をにじませた。
次戦は6月11日、J1・アルビレックス新潟との対戦が控える。会場はアウェーのデンカビッグスワンスタジアム。格上との真っ向勝負となるが、Jリーグ昇格を目指す福山シティにとっては願ってもないチャンスだ。
福山市の夢を背負い、福山シティFCが全国の舞台で次に見せる姿に注目が集まる。