第105回天皇杯全日本サッカー選手権大会の1回戦が5月25日に行われ、山口県代表のFCバレイン下関が、岡山県代表の環太平洋大学FCを2-1(延長)で下し、2回戦進出を決めた。舞台は下関市のセービング陸上競技場。地元開催となった本大会で、下関がクラブの存在感を改めて示した。
昨年は1回戦でJ3・ガイナーレ鳥取をPK戦の末に破り、クラブ初の2回戦進出を果たしたFCバレイン下関。今年もJクラブとの再戦を目指し、福原康太監督は「選手の経験値を上げる大会」と位置づけた中での初戦だった。
試合は立ち上がりから下関が攻勢。前半5分には佐藤颯汰の折り返しに野田昌秀が反応するも、シュートは相手DFのブロックに阻まれる。一方、環太平洋大学FCは落ち着いたポゼッションで応戦し、25分に井上碧斗のロングフィードに抜け出した大野公瑛がゴールを決め、先制に成功。0―1で前半を終えた。
ビハインドで迎えた後半も、下関は焦らずに攻撃を継続。59分には稗田凌太がエリア内で倒されてFKを獲得し、このプレーにより環太平洋大は退場者を出して数的不利に。64分、原崎颯を起点に展開した攻撃から、戸田海人がこぼれ球を右足で押し込み、同点に追いついた。
その後も下関は16本のシュートを放つ猛攻を見せるが、環太平洋大の粘り強い守備に阻まれ、勝負の行方は延長戦へともつれ込む。延長前半97分、途中出場の川前陽斗のクロスに上村音生がヘディングで合わせ、待望の逆転ゴールを奪った。この得点を守り切った下関が、2-1で劇的な勝利を収めた。
試合後、福原康太監督は「地元開催で大きな声援を受けられたことが逆転につながった。藤枝MYFCとの2回戦は、胸を借りるのではなく真剣勝負で勝利を目指したい」と意気込みを語った。
選手たちもホームの後押しに感謝を表明。轟凌磨は「サポーターの声援が失点後にもう一段階大きくなり、それがゴールに繋がった」と語り、クラブの知名度向上と存在証明に手応えを感じた様子だった。
一方、初出場で健闘した環太平洋大学FCの降屋丞監督は「自分たちのスタイルを発揮しきれなかったのが悔しい」と振り返り、山並仁貴も「Jクラブとの対戦を目指していたので、この結果は悔しい。次は全国地域CLを目指す」と再起を誓った。
FCバレイン下関は、6月11日にJ2の藤枝MYFCとの2回戦に挑む。さらなる挑戦の舞台で、下関の快進撃が続くかに注目が集まる。