第105回天皇杯全日本サッカー選手権大会の1回戦が5月24日に各地で行われ、ケーズデンキスタジアム水戸では、J2所属の水戸ホーリーホックが神奈川県代表のSC相模原に0―1で敗れ、クラブ史上初の1回戦敗退という苦渋の結果となった。
今大会では、FIFAクラブワールドカップ2025の影響で浦和レッズがラウンド16からのシードとなり、J2下位6クラブが1回戦からの出場となった。水戸もその一つ。ホームでの初戦でJ3の相模原と対峙した。
立ち上がりから主導権を握ったのは水戸だった。J2で上位を走る好調ぶりを示すかのように攻勢を強め、キャプテン・牛澤健を中心にゴールへ迫る。だが、相模原の守護神、バウマンが立ちはだかる。スイス出身でドミニカ共和国代表経験もあるバウマンはこの日、幾度となく好セーブを見せ、水戸に得点を許さなかった。
均衡が破れたのは後半41分(86分)。相模原が左サイドを崩し、中塩大貴とのパス交換から途中出場の武藤雄樹が右足で決勝ゴール。66分に投入された元日本代表の一撃が、勝敗を分けた。ゴール後は一直線にサポーターのもとへ駆け寄り、歓喜の瞬間を分かち合った。
水戸は多くの時間で試合を支配しながら、最後まで得点に結びつけることができなかった。新たな大会方式の中、思わぬ形で姿を消すこととなった。
一方のSC相模原にとっては、天皇杯でのJクラブ撃破は今回が初めて。これが4度目の本戦出場となるが、J2以上のカテゴリーを破ったのは節目となる勝利だ。2回戦ではJ1のジュビロ磐田との対戦が控える。
今大会、都道府県代表として出場するJ3クラブの意地が各地で光る中、この勝利もまた、クラブの歴史に刻まれる一戦となった。