天皇杯の魅力といえば、全国各地のクラブがプロチームに挑む“ジャイアントキリング”の可能性。その舞台に、2025年もまた地域からの挑戦者が現れました。山形県代表として2年連続の出場を果たした、大山サッカークラブです。
本記事では、大山SCのクラブ概要から山形県予選での激闘、天皇杯1回戦の試合情報までを詳しく紹介。地方の社会人クラブがどのようにして全国大会の切符をつかんだのか、そして初戦での対戦相手や注目すべきポイントをまとめています。
天皇杯の初戦は5月24日。下剋上を狙うその挑戦に注目が集まります。
大山サッカークラブとは?
大山サッカークラブは、山形県鶴岡市を拠点とする社会人サッカーチームであり、長年にわたり県内外で着実に実績を積み重ねてきた地域密着型クラブです。2025年の天皇杯では、山形県代表として2年連続4回目の出場を果たし、再び全国の舞台に立つこととなりました。
1959年創設、羽黒高校OBを中心とした歴史あるチーム
クラブの創設は1959年。鶴岡市大山地区の選手たちによって結成され、その後は羽黒高校サッカー部のOBを中心にメンバー構成がなされてきました。地元に根差した運営と、地域の若手選手を取り込むスタイルが特徴で、長い歴史の中で県内社会人サッカー界に確かな存在感を示しています。
東北社会人サッカーリーグ2部南での戦績と成長の軌跡
2016年に山形県リーグ2部を制し1部へ昇格、翌2017年には1部でも優勝を飾り、東北社会人サッカーリーグ2部南への昇格を果たしました。以降は東北リーグに定着し、2020年以降もコンスタントに上位を争うなど、地方クラブとして安定した成績を残しています。
2023年シーズンは4位、2024年シーズンは7位とやや順位を落としたものの、リーグ戦を通じて勝負強さと経験を蓄積。天皇杯の出場に向けて着実にチーム力を高めてきたことがわかります。
クラブの特徴
大山サッカークラブの戦い方は、守備を固めた上での丁寧なビルドアップと、チャンス時のセットプレーを活かした攻撃が持ち味です。中盤でのボール回収と展開力に強みを持ち、相手の隙を突いて確実にゴールを狙うスタイルは、天皇杯のような短期決戦でも力を発揮します。
また、羽黒高校出身の選手を多く擁することで、技術と戦術理解のレベルも安定しており、社会人クラブとしては異例の組織的なプレースタイルが注目されています。
2025年天皇杯山形県予選を制し、2年連続4回目の出場決定
大山サッカークラブは、2025年の『第29回山形県サッカー総合選手権大会 兼 天皇杯 JFA 第105回全日本サッカー選手権大会 山形県代表決定戦』において圧倒的な勝負強さを発揮し、2年連続・通算4回目となる天皇杯本戦出場を決めました。
県内社会人リーグや大学チームを含む厳しいトーナメントを勝ち抜くことで、地方クラブとしての実力と安定感を全国に証明しました。
準決勝で金井サッカークラブを2-1で下し決勝進出
準決勝の相手は、山形県1部リーグでしのぎを削る金井サッカークラブ。
互いに持ち味をぶつけ合う一進一退の展開となりましたが、大山SCは終盤にかけて集中力を保ち、見事に2-1で競り勝ちました。リーグ戦とはまた違う一発勝負の緊張感の中でも、粘り強く勝利をもぎ取る姿勢が光りました。
この試合では守備陣の粘りが際立ち、セットプレーからの得点を確実に決めるなど、短期決戦に強い大山SCらしさが全面に出た内容でした。
決勝でFCパラフレンチ米沢に4-2で勝利し、連覇達成
決勝戦は4月6日(日)、山形市球技場にてキックオフ。対戦相手は、攻撃力に定評のあるFCパラフレンチ米沢。試合は序盤から激しい点の取り合いとなり、両チームの意地がぶつかる白熱の展開に。
しかし、大山SCは試合を通じて冷静にゲームを運び、最終的には4-2で勝利。前年に続く連覇を達成し、山形県の代表の座を自らの手で掴み取りました。
この勝利により、社会人チームとしての誇りと実力を再確認し、天皇杯本戦に向けた勢いと自信を手にする結果となりました。
大山サッカークラブ、決勝戦での得点者(注目の選手)
決勝戦では4選手がそれぞれ得点を記録し、チーム全体の攻撃力の高さを示しました。
- 渡部翔宙(わたなべ かける):セットプレーからのヘディングで均衡を破る先制点
- 名古祐介(なご ゆうすけ):ゴール前の混戦を冷静に制して追加点
- 菅原比呂(すがわら ひろ):技ありのシュートで勝利を引き寄せる3点目
- 髙橋将輝(たかはし まさき):カウンターからのダメ押しゴールで締めくくり
複数選手が得点に絡むことで、チームの層の厚さと連携力の高さが浮き彫りとなり、天皇杯本戦での戦いにも大きな期待がかかります。
天皇杯1回戦の対戦相手と試合情報
大山サッカークラブは、2025年5月24日(土)に開幕する『天皇杯 JFA 第105回全日本サッカー選手権大会』の1回戦で、栃木県代表と対戦します。地域予選を勝ち抜いた実力チーム同士の初戦は、全国のサッカーファンにとっても見逃せない注目カードとなっています。
5月24日(土) 栃木県グリーンスタジアムで栃木県代表と対戦
試合は、5月24日(土)に栃木県グリーンスタジアムにて開催予定です。
栃木県代表は、地元での開催という利を活かし、組織的なプレーとホームの声援で挑んでくることが予想されます。一方、大山SCはアウェイの地でジャイアントキリングを狙う挑戦者として、持ち味の粘り強い守備と鋭いカウンターで初戦突破を目指します。
天皇杯の1回戦は、勝てばJクラブとの対戦権が得られる重要な一戦。試合の行方は、全国のファンの注目を集めることでしょう。
勝利すれば2回戦で東京ヴェルディと対戦予定
この1回戦を制すると、2回戦ではJ1クラブの東京ヴェルディとの対戦が待っています。
プロとアマチュアが直接ぶつかる機会として知られる天皇杯の醍醐味が、まさにこのステージです。
仮に大山SCが初戦を突破すれば、Jリーグの舞台で培われたスピード・フィジカル・戦術と真っ向から勝負することになります。
大山SCにとっては、地域クラブとしての誇りを胸に、プロ相手にどこまで戦えるかを証明するまたとないチャンス。その挑戦に、全国からの熱い視線が注がれます。
過去の天皇杯成績と今大会への意気込み
大山サッカークラブは、これまで2020年・2021年・2024年に天皇杯本戦へ出場しており、今回が4回目の出場となります。
ただし過去3大会はいずれも1回戦で敗れており、特に2021年はいわてグルージャ盛岡に0-13と大敗。全国の壁の高さを痛感する結果となりました。
しかし、経験を重ねてきたことで、チームは確実に進化を遂げています。2024年には9失点と課題が残った一方で、予選では連覇を達成し、組織力や個の技術も安定感を見せ始めています。
「過去の悔しさを乗り越え、今こそ1勝を掴みたい」
そんな強い想いを持って、大山サッカークラブは2025年大会に臨みます。クラブ関係者や地元ファンにとっても、悲願の“全国初勝利”が期待される大会です。
大山サッカークラブの挑戦を見逃すな
山形県鶴岡市を拠点とする大山サッカークラブは、1959年の創設から地域に根差した活動を続けてきた社会人クラブです。羽黒高校OBを中心に構成されたこのチームは、2025年の天皇杯山形県予選を勝ち抜き、2年連続・通算4回目の本戦出場を決めました。
5月24日に栃木県グリーンスタジアムで行われる1回戦では、栃木県代表と対戦。勝利すれば、J1の東京ヴェルディとの夢の舞台が待っています。これまでの天皇杯では厳しい結果が続いてきましたが、経験と進化を重ねてきた今こそ、全国初勝利への期待が高まります。
「無名のクラブが、強豪を倒す」――
天皇杯の最大の魅力である“ジャイアントキリング”は、こうした地域クラブの挑戦によって生まれます。
2025年、地方から全国へ。
大山サッカークラブの挑戦に、サッカーファンなら誰もが胸を熱くすることでしょう。
彼らの一戦一戦に、ぜひご注目ください。